冬青空と・・・<br><font size="-2">Shinjuku Takashimaya Shop / written by Nanae Fukawa</font>

冬の厳しい寒さが訪れる中、私は休日に台東区立朝倉彫塑館を訪れました。
この建物は国の有形文化財に指定されており、敷地全体が「旧朝倉文夫氏庭園」として国の名勝に認定されています。朝倉文夫氏は1883年に生まれた彫刻家であり、特に馴染み深い作品としては、早稲田大学キャンパス内にある大隈重信像が挙げられます。

朝倉彫塑館は作品が展示されているだけではなく、アトリエや住居も鑑賞することができます。1907年にこの地にアトリエ兼住居として建てられ、当初は小さなものでしたが、8回の増改築や敷地拡張、建て替えを経て、1935年に完成しました。アトリエ棟は鉄筋コンクリート造の西洋建築であり、一方で住居棟は竹をモチーフにした日本建築で、朝倉氏自らが設計に携わり、細部の工夫や彫刻家ならではのスケール感とこだわりを感じます。そして居心地が良いのです。住居であり植物に繋がりがあるからでしょうか。
「五典の池」と呼ばれる大きな池を中心に構成された中庭や、東洋蘭愛好家である朝倉氏が蘭の育成のために使った温室「蘭の間」などがあり、驚くべきは屋上庭園の存在です。約90年も前に既に屋上庭園を構想し、実現させた朝倉氏の先見性に感嘆します。

港区 六本木 花屋 ゴトウフローリスト 朝倉彫塑館
港区 六本木 花屋 ゴトウフローリスト 朝倉彫塑館

屋上庭園は、朝倉氏が彫塑塾の園芸授業のために使用し、菜園として利用され、実習の場で、歴史を感じるレンガ壁や、タイルなどが趣を醸し出しています。季節柄、緑が青々と茂っている庭園を見ることは出来ませんでしたが、常緑のオリーブの木はとても素敵なものでした。根が力強く地面をつかみ、青空とオリーブのシルバーグレーの葉色のコントラストが美しい光景でした。長い年月を経たこの庭園のシンボルツリーです。
遠くにはスカイツリーが見え、その中で刻まれた様々な時代の背景を、このオリーブは見てきたのだろうと。感慨深さを覚えました。

港区 六本木 花屋 ゴトウフローリスト 朝倉彫塑館
港区 六本木 花屋 ゴトウフローリスト 朝倉彫塑館

私の勤務するゴトウフローリスト新宿高島屋店には、ミモザとツバキが入荷致しました。
どちらの花木も長く育てていただくことができ、何十年か後には、朝倉彫塑館のオリーブの木のように、その家のシンボルツリーになるかもしれない。そう思うと愛らしさも倍増です。

港区 六本木 花屋 ゴトウフローリスト 朝倉彫塑館
港区 六本木 花屋 ゴトウフローリスト 朝倉彫塑館

そして、鉢物との出会いは一期一会で、その出会いを大切にして、育てる喜びを共有したいと考えています。お客様にとって特別な存在となり、受け継いでいくことができるような鉢物商品を提供していければと心から願っています。

 

◎ゴトウフローリストも、長い歴史の中で、お客様とともに美しい瞬間を刻み続けてまいりました。
お客様に感謝の気持ちとともに、これからも一層心を込めたサービスでお役に立てればと思っております。